お目当てのモニタースピーカーを手に入れられた方、おめでとうございます。
まだゲット出来ていない方は、是非当社のショッピングサイトにアクセス下さいませ。
さて、本記事では「モニタースピーカーを手に入れたあとの環境整備」に焦点を当て、周辺の機材についての情報をまとめています。モニタースピーカーは買って終わりではなく、むしろそこからがスタートです。置き場所ひとつで音の聴こえ方は大きく変わりますし、ケーブル1本、インシュレーター1個とっても、環境と合致すればかなりの音の違いを体験することが出来ます。
まずは置き場所です。ケーブルを何十万円分試すよりも、豪華なインシュレーターを使うよりも、最初に意識する部分です。「良い置き方」は部屋それぞれですが、悪い置き方には法則性があります。その辺りをまずは見て行きましょう。
悪い例:安定しない台/机に置いている
これは主に共振を避けるためです。当たり前ですが、スピーカーから音が出ている時に机がガタガタ言っていたら…というだけでなく、机自体が共鳴して不要なノイズを生むような形になるのを避けるのが目的です。安定したスピーカースタンドを購入するのがベストです。
悪い例2:スピーカーの角度が耳の位置と全然合っていない
"ツイーターを耳の位置に合わせましょう"、という情報は良く耳にするかもしれません。もう少しちゃんと言うと、「音は低域になればなるほど指向性を失うのに対し、高域は指向性が鋭いので、まずは高域の焦点を合わせる置き方を模索しましょう」ということです。ツイーターは耳の位置、という情報だけを頼るよりは、指向性があるから耳に合わせるべきなんだ!というのを意識してみるといいですね。
悪い例3:壁に近すぎる
最低でも30cmくらいは離しましょう。スピーカーはなにも前面だけが鳴っているわけではありません。一般に、壁に近ければ近いほど低域が不自然に強調されていきます。同様に、スピーカーの周りに無駄なものをたくさん置くのもやめておくべきでしょう。音は空気の振動ですから、そのルートは適切に保つべきです。ごちゃごちゃに置いた荷物が、良いアイソレートの効果を生む可能性もありますが…。
逆に、これらをきちんと避けていけば、おのずと鳴りは整えられ、スイートスポットも見つけやすくなるはずです。「○○cm離して、角度を○○度にして…」という数字はあまりアテになりませんので(スピーカーや部屋のサイズによりますからね…)、こういった悪い要素を排除していく方向で考えていくのをおすすめいたします。
次に、これらを改善するための内容に入ります。
超重量の石材、でも良いのですが…一般には、スピーカーを置くために設計されたスタンドを用いるのが効果的です。スピーカー底面の共振を防ぐことによって、余計なモヤモヤがなくなるとお考え下さい。それだけでなく、適切な高さのスタンドをチョイスすることで、耳の高さに合わせる目的も果たすことが可能です。概ね90cmからが目安となります。
REQST/RKST-90 マグネシウム合金製スピーカースタンド
http://shop.miyaji.co.jp/SHOP/ka-r12162057.html
ACOUSTIC REVIVE/YSS-90HQ Pair
http://shop.miyaji.co.jp/SHOP/ka-r-011417-yn01.html
デスクがあってスピーカースタンドが置けない…という場合は、卓上スタンドもあります。
Zaor Studio Furniture/MIZA D’Stand Grey/Oak(Pair)
http://shop.miyaji.co.jp/SHOP/ka-r-111314wa05.html
MISTRAL/DSS1620S デスクトップスピーカースタンド
http://shop.miyaji.co.jp/SHOP/ka-r-061217-ak01.html
とにかく、机に直置きだけは避けた方が無難です。机自体が振動する上に、机の上に置いてあるものも共振の原因になるためです。あとは当然、机自体の「反射」もあります。「スピーカースタンドって単なる台なんじゃないの?」と思われるかも知れませんが、"安定しつつ、高さが稼げる台"と考えると、案外代用が効きづらいのです。
スピーカースタンドだけでも良いのですが、さらに制振させるためにインシュレーターがあります。五円玉にパチンコ玉を、みたいなアレです(私もかつて何個も作りは捨てを繰り返しました…。)。スピーカーは空気の振動を発生させる装置ですから、本来は意図せぬ振動とは無縁の位置=部屋の真ん中にプカプカと浮いているのが理想です。とはいえそれは物理的には難しいので、現状は「底面の振動を避け、かつ接地面を小さくする」という手段が有効とされています。
DMSD/DMSD 50 BLACK
http://shop.miyaji.co.jp/SHOP/ka-r-090517-yn01.html
ISO Acoustics/ISO-PUCK
http://shop.miyaji.co.jp/SHOP/ka-r-060917-tm01.html
AET/VFE-4005U
http://shop.miyaji.co.jp/SHOP/ka-r-072314-ak01.html
※すこし変わり種ですが、安価ながら制振作用が高いモデルです。
インシュレーターは、低域の質感を整える(一般的に低域が整理され量感が下がったように聴こえる)効果と、それに付随して中低域や高域にいたるまでパワーの大きい共振で見えづらくなっていた部分に対し明瞭度向上の効果があります。こればかりは使ってみないと分からないので、神田店店頭では「置いた時」「置いていない時」の比較試聴が可能です。
制振の次は「反響のない空間」にールームチューニング編
この分野は部屋固有の環境に大きく関連するため、この記事を含めてネットでの記事を読んで「これを買えば絶対良い!」とはなりません。簡単に書くのも難しい分野ですが、商品群が多いため記載します(いずれルームチューニング編もしっかり書きたいところです)。ここでの理想は、「スピーカーから鳴っている直接音だけが耳に届く状況」。ですが現実問題として、部屋の壁の反射によって、人間の耳には幾重にも折り重なって出力音が聴こえています。
MKR/Otokuisama
http://shop.miyaji.co.jp/SHOP/list.php?Search=otokuisama
このようなギザギザした吸音材は、主に拡散目的として高域に影響します。音を散らして耳障りな反響を抑えようという形です。見た目が良いこともあって、主にスピーカーの後ろに貼る方が多いですね。
http://shop.miyaji.co.jp/SHOP/list.php?Search=london+8
セット販売ものなら、今のところこのLondon 8が一番コスパが良さそうです。一口に反射と言っても高域〜低域まで様々で、それぞれ帯域別、用途別に防止する商品が存在します。この分野は一気に改善を図るのは難しいですが、最初に買うアイテムとしては非常に良いですね。
ちなみに、部屋の反響を技術的になんとかするのがこちら。Sonarworksです。
Sonarworks/Reference 4 Studio edition with mic - boxed
http://shop.miyaji.co.jp/SHOP/ka-r-062117-yn06.html
こちらは部屋の反響音をマイクで集音して反響具合を測定し、反響部分をEQ的に減らしてしまおう、という音響補正プラグインです。使い方やレビューはこちらの記事をご参照下さい。
http://miyaji-parec.jugem.jp/?eid=2306
ARC2やGenelecのGLM機能など、そもそもこの手の音場補正を信用するかどうかはその人次第ですが、基本的には低域がスッキリする傾向にあります。というより、狭いお部屋などでは低域が残り続けてしまうということですね。個人的には、ルームチューニングに疲れた方に対してもおすすめの商品です。
耳の高さ、角度は大丈夫ですか?安定したところに置けていますか?お部屋の環境はどうですか?
この辺りまで来たら、ラインケーブルについて考えてみても良いかも知れません。ギターのシールドで音が変わるように、当然インターフェイスからスピーカーへのケーブルでも音が変わります。MogamiやBeldenなどが定番ですが、ここでは効果の分かりやすい2本をご紹介します。
NEO created by OYAIDE/ Elec. QAC-222 XLR
http://shop.miyaji.co.jp/SHOP/ka-r-122014-mz24.html
OyaideからはQAC-222をチョイス。PA-02も良いのですが、あちらは比較的ギラつきがある特徴的な音なので、モニター用途にはQAC-222がばっちりハマります。天井が高くなるようなイメージで、価格的にも手頃な一本です。長さはお部屋に合わせてチョイスして頂ければと思いますが、基本大は小を兼ねるので(3mと5mで音質の違いが分かる人は殆どいないと思います)迷ったら長い方が良いかと思います。
参考記事:話題の製品を実際に使ったらこうだった!Oyaide XLRケーブル聴き比べ編
http://miyaji-parec.jugem.jp/?eid=1268
Vovox/sonorus direct S
http://shop.miyaji.co.jp/SHOP/ka-r-05031207.html
クリア&ナチュラルな音質の定番機種、"Vovox Sonorus Direct S"。私事ですが私の自宅もvovoxで結線しています。ケーブルでの色付けはほぼ感じられなく、同時に全くロスもないような印象です。ナチュラルファイバーで覆われたケーブルは取り回しも良いため、どのような現場でも使い易いですね。
この辺りがクリアになってくれば、電源ケーブルに手を出しても良い頃合いかも知れません。
電源ケーブルで音が変わるのか?という点については、下記の記事をご参考にして頂きつつ
試してみた!FURUTECH/The Astoria & The Empire
http://miyaji-parec.jugem.jp/?eid=2020
ここでは、2本ほど紹介をさせて頂きます。
まず、音が立つようなバキバキサウンドにしたいのであれば、この1本が定番です。
OYAIDE/BLACK MAMBA-α V2
http://shop.miyaji.co.jp/SHOP/ka-r13132.html
派手目なサウンドが特徴で、高域の音の立ち方、低域の安定感など、上にも下にも広くなるような印象の電源ケーブルです。純正などと比べるとドンシャリ傾向に聴こえる場合もあるかも知れませんが、とにかく変化が分かり易いという意味合いでは最初の1本には最適かも知れません。
逆に、各機材の純正ケーブルから音は変化させず、ノイズ減と全体的なクオリティアップを目的とするなら、Medusaがおすすめ。
KOJO TECHNOLOGY/Medusa 2.0m
http://shop.miyaji.co.jp/SHOP/ka-r-06201204.html
見た目は他の電源ケーブルに比べても少し地味ですが、雑味を消すことが出来る良いケーブルです。
というわけで、すごく駆け足ではありましたが、スピーカー環境の改善について書いてみました。周辺環境に関する製品はこれだけたくさんあって、かつ「どれをどういう順番で買ったら良いのか?」「部屋の環境ごとに効果の大きいもの、小さいもの」など、悩みも多いのがこの分野だと思います。
※2017年10月現在、当店の店頭システムのメインスピーカーは、Barefoot/Micromain 27とAmphion/One 18です!
設置に関する詳細なご相談などは、神田店にご来店頂ければお客様の環境にあった形をご提案可能ですし、お電話でのお問い合わせも歓迎です。東京近郊の方は、是非神田店に遊びに来て頂いて、周辺機器の有無による音の違いを実際にお試し頂ければと思います。
それでは、皆様も良いモニターライフをお送り下さい!
- 2017.10.31 Tuesday
- 機材レビュー