RPMレコーディングスタッフが、実際にしっかりと使ってみて話題の製品の実力を実体験レビューする本シリーズ!
今回はもはやチャンネルストリップの定番としっても差し支えのないRupert Neve Designs/Shelford Channelをレビューしていきたいと思います。
RUPERT NEVE DESIGNSはプロオーディオの名機を数多く世に送り出してきたレコーディング業界のレジェンド・ルパート・ニーヴ氏により設立されたメーカーです。ミキシング・コンソールをはじめマイクプリ、イコライザー、コンプレッサーなどの製品群はどれも高い評価を得ています。幾多の名器を生み出してきたクラシカルな部分と時代に合ったモダンな技術を融合させた製品はアナログ・世界中のアーティスト・エンジニアに愛用されています。
本機は過去のNEVEモジュールのコピーではなく完全オリジナル設計となっております。
信号の流れも左から右に向かっていくもので極めて直感で操作する事ができます。
フロントパネルを見てみましょう。
インプットセクションはDIのインプット、ゲイン、トリム,HPFが並びます。
ボタンはMIC/LINE,GNDLIFT,48V,フェイズが搭載されてます。
フィルターがHPFのみは残念ではありますが、個人的にはゲインの微調整ができるトリムが装備されて
いるのはありがたいですね。
6dbステップのGAINと微調整できるTRIMの操作感覚はかつての9098EQのようです。
EQセクションは3バンドでHFは8kもしくは16kのボタン選択でMID、LOWはノブにて任意の周波数帯で選択する事ができます。
HF,LFはEQカーブをピーキングに、MIDはシェルビングカーブを鋭くする事ができます。
範囲はある程度固定されてますが、ツボを抑えた帯域設定によりストレスない処理をする事ができます。
COMPセクションはスレッショルド、レシオ、ゲイン、タイミング、ブレンド、
サイドチェーンインサート、ステレオリンクと並びます。
特にブレンドノブは最近のコンプには多く搭載されてますね。
このスペースにこれだけの機能が搭載されていれば十分かと思います。
VUメータのスイッチはオンにするとリダクション、オフにすると本機のアウトプットを確認できます。
そして本機の特徴のひとつ、「SILK」スイッチです。
レッドにすると高域に対して、ブルーにすると主に低域に対して、作用します。
TEXTUREで掛かりの増減を調節します。
第一印象としては、NEVEのクラシックモジュール(1073や1081)のニュアンスというよりも、
どちらかといえばVシリーズや88RSの系統に近いと感じました。
クラシックモジュールほど太さや粘りは少ないものの、そのかわりにスピード感や天井感があり、より使用楽器やジャンルを選ばない印象です。
サウンドサンプルを聞いてみましょう。
アコギアルペジオ、アコギストローク、ボーカル単体と3種類のパートでそれぞれ
・マイクプリのみ
・ラインインで本機の機能を駆使したサウンド
をそれぞれ用意しました。ご参考までに!
いかがでしょうか?
本機の各セクションを駆使して作ってみましたが、ストレスなく音を追い込む事ができました。
個人的には「SILK」機能がお気に入りでブルーのさりげなくでもどっしりと倍音が付加される
ニュアンスがお気に入りでした!(サンプルM2,M6)
レッドは高域に倍音がつく傾向ですので上物パートなどに威力を発揮するかと思います。(サンプルM4)
他のセクションもいわゆるスタジオコンソールのモジュールと比較しても全く遜色が無く、
今の時代のスタンダードになりえる実力を持っていると思います!
1Uサイズによくこれだけの機能とサウンドバリエーションを作りあげる事ができるのは
さすがRupert Neveといった所でしょうか?
本機が現代のニーズに合わせたコンソールモジュール。
他のアウトボードほど個性を押し出した性格ではありませんが、この懐の深さはジャンルを問わず即戦力となるでしょう。
もはや新たな定番機と言っても過言ではない本機。
店頭にて是非ご試聴ください!
Rupert Neve Designs/Shelford Channel ¥388,800-(税込)
- 2019.03.17 Sunday
- 機材レビュー