今回は先日宮地楽器で取り扱いを開始したばかりのReference Laboratoryのケーブルをご紹介します。
Reference Laboratory社は、1992年に創立以来、ギター、ベース、キーボード、ヴォーカルなど、それぞれの用途に最適なサウンドを提供すべく独自の研究を重ね、無酸素銅(99.97%)による高音質、高品質なケーブルを制作しているイタリアのメーカーです。
また、マイクケーブルRMC-S01はStarling Soundでも採用されており、日本ではブルーノート東京にも採用が決定しています。その音質はライブ、レコーディング、マスタリングまで広く、支持されているケーブルです。
数あるケーブルの中で、今最も注目すべきマイクケーブル「RMC-S01」を試してみました。わかりやすくするために、他社製のマイクケーブルと音源を聴いていただきながら比較してみたいと思います。
ケーブルを選ぶ際に音質と並んで大事な要素が取り回しです。Reference Laboratoryのケーブルは2種類あります。それがRMC-01とRMC-S01です。01がライブ向け、S01がスタジオレコーディング向けとなっています。型番もそっくりで見た目の違いもほとんど同じに見えます。
どちらも柔らかいケーブルで、取り回しもしやすいので、実際の現場での使用にも全く問題ありません。それどころか、ケーブルは軽く、何本もまとめて持っても重さをあまり感じませんでした。S01より01の方が少し軽く感じますが、よりライブステージでの使用を意識しているのでしょうか。こういったことからもReference Laboratory のケーブルが幅広い用途で支持されている理由がわかりますね。
今回はそのRMC-S01、RMC01を実際に試してみたいと思います。
スタジオ定番ケーブルC社、M社、ハイエンドケーブルA社と比較してみます。
ソースは男性ボーカルです。
マイクとマイクプリとの間に結線してみました。想像以上に各社それぞれの違いが出た結果になりました。
使用機材
■マイク : Neumman U87ai
■マイクプリ : Rupert Neve Designs Shelford Channel
■I/O : Avid MTRX
それぞれのケーブルを比較しながら、感想を書いていきます。
1. ハイエンドメーカー A社
まず感じたのは上から下まで綺麗に出ているというところです。音の立ち上がりも5つの中で最も速く感じました。SN比もよく、クリアな音質です。今回はソースが男性ボーカルでしたが、どんなソースでもフルレンジでクリアな音質になりそうです。
2. スタジオ定番メーカー C社
こちらも意外と健闘したなという印象です。A社と比べると10倍以上の価格差がありますが、バランスがよく、癖も少ないなという印象でした。スタジオ定番というだけあって、聴き馴染みのある音で安心感すら感じます。
3. スタジオ定番メーカー M社
こちらもスタジオ定番のメーカーです。個人的にですが、ケーブルの存在を感じさせないケーブルとしての印象があります。今回の音源で比較すると少し細いかなと思うところもあります。ですが全体のバランスが良く、アウトボード間の結線やスピーカーに繋ぐケーブルとして使うと非常にコスパに優れ優秀な印象があります。
4. RMC-01
RMC-01はReference Laboratoryが主にライブ向きとするマイクケーブルです。RMC-S01と比較すると多少硬い印象も受けますが、温かみのある音で、レンジもそれなりに広いです。スタジオ定番ケーブル2社と比較すると、太く、言葉もハッキリ聞き取れるように感じました。マイクケーブルとしてだけでなくモニタースピーカーに繋ぐケーブルとして使うと面白そうだなと思いました。
5. RMC-S01
いよいよ大本命のRMC-S01です。5つの中で最も中域が豊かで太い音になりました。筆者自身もこれまでに様々なケーブルを試してきましたが、このキャラクターは未体験で、他のどのケーブルにも似ていないと感じます。
高域はディエッサーで処理をしたように、シビランスが抑えられていながらも、抜けも抜群で暖かく、明るい印象です。トランジェントはどちらかと言えば遅いように感じますが、子音の聴きとり易さもあります。こういう例えをすると大げさですが「87が67になった」ような感覚に近いです。声との相性が抜群に良く、あとでプラグインで行う処理がこのケーブルを使うだけで終わってしまっているような感覚になりました。
スピーカーへの結線やアウトボード間の結線にも使用しても面白いとは思いますが、キャラクターが濃いため万能になんでも使えるということにはならなさそうです。マスタリングでよく用いられる手法ですが、ケーブルだけを通して2mixに味付けをする場合には重宝するケーブルになるのではないでしょうか。
今回5つのケーブルを比較すると鮮明に違いが出ました。A社のケーブルはマイクの性能を極限まで引き出すフラットかつフルレンジなキャラクター、C社M社はマイクの性能を損なわないキャラクター、Reference Laboratoryの2本は濃い色付けをするキャラクターだということがハッキリわかる結果になりました。
特にRMC-S01を試してみて「ケーブルはフラットで色付けを極力排除すべき」という考えに一石を投じる製品ではないかと感じました。このケーブルは決してフラットではないし、色付けは濃いです。しかしこのキャラクターがいい結果をもたらす場面は多いと感じましたし、特にボーカルの収録に使うと感動モノです。ちなみに筆者は音を聴いて即買いしました。
使い方はまさにアウトボードのEQと同じです。合わなければ使わないという手も大いにアリだと思います。こっそり現場に持ち込んでおいて、録り音にあともう一歩の押しが必要となった時に効果を発揮する「秘密道具」になりうるのではないでしょうか。
RPM店頭に展示もありますので、実際にその音を試してみることも可能です。お問い合わせお待ちしております。
Reference Laboratory/RMC-S01 (XLR-XLR) 3m ¥17,712-(税込)
Reference Laboratory/RMC-01 (XLR-XLR) 3m ¥11,772-(税込)
- 2019.07.15 Monday
- 機材レビュー